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「脱水症の理解を育む」

1) お風呂やプールの栓を抜くと・・・ 水平に水位が下がります。

2) 人の体は・・・ 大脳の循環は保とうとします。一方、消化管の循環が低下し易くなります。

 “健康”には幅があります。多少脱水気味でも、病的ではありません。が、一方、一旦、体調を崩したり、感染症等で発熱すると、消化管循環が劣り、困り感が強くなります。​ 乳幼児や学童(~中学年程度まで)は、脱水が進行することで、消化管の循環が落ち込み、機能低下することで、嘔吐することになります。止むを得ず、点滴で脱水を補正することにもなります。外来で、或いは、入院での持続点滴(図 b・c)です。

 稀有なことですが、仮に、大脳の循環が低下するほどになれば、集中治療対象(図 d)になります。病状としては、けいれん発作、意識障害・・・。

 追い込まれる前に、家庭で丁寧に水分摂取を図る(図 a)ことが願いとなります。生活リズムの観点では、乳幼児から小児期を通じて、夕食時までに、十分な飲水をして、尿がしっかりと出る状態におくこと(図)が健康維持のコツです。消化管の循環が十分保たれたら尿が出始めます。医学的には利尿が得られる状態です。

 このことで、健康の度合いを高めることになります。

 なお、大人では、(小生然りですが、)就寝前に、のどの渇き感があれば、飲水をします。アルコールではなく、ジュースやカフェインのある飲料は避け、単純水が望ましいです。

水分代謝における子どもと大人の違いに係る理解も重要です。

模式図で示した通り、子どもは水分代謝が盛んであり、その分、脱水徴候に陥り易いのです。

体重1kg当たりの水分摂取量は、年齢、体重が小さければ小さいほど、多く必要です。疲労するほどに活動した際や、発熱など病状がある際には、とくに配慮が必要です。

※ 脱水徴候に陥ると、体は便の中の水分を再利用します。結果、便が固くなります。程度が進むと、乳幼児から学童(~中学年)では、不機嫌・腹痛と嘔吐を呈することがあります。感染症でなく、脱水が進んだ結果です。

※ 感染症においては、発熱時から解熱後にも脱水徴候に陥らないように留意することが大切です。

「痛いことはしたくない」とのお母さん方の願いは、つまり、子どもの採血・点滴はできれば避けたいとの気持ちです。これは、古今東西・世界のお母さんたちの共通の願いでしょう。

家庭で補正が困難な脱水状態となれば、外来点滴、さらに、入院での持続点滴となります。この際は、点滴の種類、速度を選択、調整し、決定します。では、点滴に至らないために、家庭看護での摂取量を具体的に提示することは・・・?!

以前は、「しっかりとお摂りください」程度で、具体的なお話ができていませんでした。鳥取県立中央病院から智頭病院に異動後、お母さん方の願いを適えるべく、試行錯誤して、整えた[水分摂取に係る具体的な目標]の概要を表示しました。

表示したのは、概要です。外来診療においては、年齢、体重・体格、病態を勘案して、具体的な摂取量の目標を設定しています。

そして、離乳が完了した年齢以上では、水分、多少の塩分と炭水化物(・でんぷん質)の摂取を大切にすることを啓発しています。⇒[水分・塩分・炭水化物]参照

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※ 本摂取目標を導入した当時は、24時間の摂取総量を電卓で計算しつつでしたが、現在ではお子さんをみて、提示しています。(稀に、24時間摂取量を計算し、ブレがないことを確認することもありますが・・・。例えると、和菓子職人が材料を手に取り、分ける作業に似ています。店頭での“マイスター職人”の作業に魅せられることがありますが、時に計量器に乗せて確認する程度です。) 

※ インフルエンザシーズンには、急性脳症、痙攣重積症の小児例があります。遺伝子要因など、多因子がありますが、脱水状態に陥り、自己免疫を崩すことが誘因になっている例もあろうかと懸念しています。

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