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Influ-safe

Q.インフルエンザでの欠席者が増えています。例年のこととは言え、学級閉鎖・学年閉鎖を決定する際に、タイミングや期間など、思案します。

 お考えをお聞かせいただければと思います。

回答)ご承知の通り、季節性インフルエンザの流行開始、患者の増加具合、ピークの高さなど、毎年異なります。また、A型はH3N2(A香港型)とH1N1pdm2009の流行があり、B型も複数のサブタイプが流行する可能性があります。よって、一流行シーズンに数回のインフルエンザを発症する方もあり得ます。

 さらに、共通確認をしておきます。

 インフルエンザは飛沫・接触感染が基本ですが、室内が乾燥している場合は空気感染の様相も呈します。

 室内は、教室、スキー合宿などの際の着脱衣室、居室、移動のためのバス車内などが該当します。私的活動の際は、映画館、大型店内など、大人では、職場、公共交通機関内が乾燥していることが多く、空気感染でのインフルエンザウイルス被感染となり得ます。

 学校における感染制御を考える上で、新型インフルエンザ対策の基本方針に準拠することが大切です。即ち、季節性インフルエンザにおいても、対応を図ることで、発症者を減らすこと、教室内でのウイルスの拡散を抑えることが願いになります。

 流行初期なのか、蔓延期になり、ダラダラと欠席者が相次いでいるのか、学期末に至っているのか、受験を目前に控えているのかなど、学校特有の条件もあります。

 インフルエンザの潜伏期を考慮すると、3日間の同一空間での接触を避けることで、当面の流行は阻止可能です。となれば、土日を活かして、金~日か土~月の3日間の確保がオススメです。

 なお、水曜日段階での流行(新たな発症者・欠席者)状況から木・金と土日を活かした4日間とすることは、さらに有効です。或いはまた、木曜日の状況で、金~月の4日間とすることもあり得ます。

 判断しにくいのは、月曜日に新たな欠席者が多く、火~木をどうするかの場合で、常に悩みます。

 欠席者の人数(クラスの人数に対する)割合など、固定的な基準がない(設定できない)ので、毎年、悩ましい場面に遭遇しているのが実情です。

 学級・学年閉鎖は、インフルエンザ流行を制御する方策としてとても有効です。

​ ただし、学校内で異学年の生徒が集う部活動も併せて中止にすることが基本です。潜伏期にある児童・生徒が部活動の場で、感染拡大の端緒となることもすくなからずあります。ご留意をお願いします。

 追記です。

 某年の2学期末に(該当シーズンは流行の開始が早く、欠席者が相次いだ年で)智頭中某学年の学級閉鎖をせずに、終業式を待った際は、ダラダラと発症者が出て、3日間の学級・学年閉鎖の有効性を改めて実感したこともありました。

 蛇足です。自身の臨床小児科医人生で最初で最後の体験になることを願っていますが、智頭小学校ではノロウイルスの集団感染事件があり、「全校閉鎖」措置があり、奏功しました。

 ノロウイルスもインフルエンザと同等の強い感染力、潜伏期間が短い特性があります。かつ、環境に落ちてしまえば、インフルエンザウイルスは15分程度で感染力が失活しますが、ノロウイルスは2週間程度以上は感染力が持続します。

 よって、環境消毒は、生活環境を介した水平感染を阻止する上での要となります。

 智頭小では金曜日を全校閉鎖とし、校内の消毒を実践したことが著効しました。即ち、[ノロウイルスを付着した児童→児童]、[ノロウイルスで汚染された環境→児童]の二重の感染経路が遮断できたのでした。

 結果、学校閉鎖をした金曜日と土日を経過した週明け以降、学校内での水平感染は発症していません。が、想定内ですが、自宅における家族間の水平感染、園児の弟妹を介しての保育園における水平感染があり、残念なことに、保育士の発症例も出たのです。

 新型インフルエンザ対策でも言及されることですが、「ノロウイルス陰性の証明」を求める職場などがあり、対応した次第でした。

 智頭町の地域性を活かして、速やかに医療・保健・福祉と教育関係者が集い緊急対策会議が持てたことも、その後の制御に奏功したと考えています。

 下記の図は、全体経過です。ご参照いただければ幸いです。

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