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 「初めて高い熱が出ました」「高い熱が続きます」と言った心配をお話しされるお母さんは小児科外来の定番です。とくに、人生を通じて、皆がほぼ必ず体験するのが「突発性発疹」です

 

    「生まれてから初めての発熱し、しかも高熱が約3日間も続き、熱が下がったら、赤い発疹が出た」というのが、突発性発疹の一般的な経過です。
“生まれてから初めての発熱”と言う例は、在宅生活をしている第一子で、胎盤を通じて、母体から得ていた抵抗力(以降免疫)が枯渇する生後10か月前後から2歳未満で発症します。
 ところが、現在、わが国では、突発性発疹の典型例に出会う機会が減りました。その理由は、国の施策もあり、0歳児、それも半年未満など、早い時期から集団保育をするようになったためです。
 このため、在宅生活では経験し得なかった多種多様なウイルスに見舞われ、発熱を伴う風邪・急性上気道炎や気管支炎(~細気管支炎)などに、次々とかかる(発症する)ことになります。
 結果、「生まれて初めての発熱が突発性発疹だった」と言う例が減っているのです。かつ、発症が2歳過ぎなど、遅くなってもいます。
 とは言え、突発性発疹の病状・経過は変化していません。
 高熱は40℃を超えることが少なくありません。高熱を主訴として来院された乳幼児を診て、即、「突発性発疹です」とお話しする例はまれです。と言うのも、乳幼児が高熱を呈する疾患が多々あるからです。川崎病の所見がない、髄膜炎・脳炎でもない、高熱を伴う尿路感染症(:上部尿路感染症・腎盂腎炎)でもない、溶連菌など細菌性咽頭扁桃炎でもない、インフルエンザでもない、アデノウイルスによる高熱や夏季ならヘルパンギーナでもないなど、高熱を来す疾患を、問診や診察所見で、次々と除外した後に、“高熱が主体の風邪”ないし、突発性発疹の可能性があることをお話しします。
 外来診療で「ウイルス血症です」とお話しすることは多々あります。これは、ウイルスが血液中入り込んで、免疫応答し、高熱を出して、ウイルスを弱体化・死滅させる生体の防衛反応です。インフルエンザ、アデノウイルスにおける高熱と同じく、突発性発疹の高熱もウイルス血症です。
 初めて出会うウイルスの場合、通常、まる3日程度の(防衛反応としての)発熱をし、この間に、免疫応答し、抵抗力を獲得する(抗体産生をする)と、解熱に至る経過は一般的なことなのです。
 繰り返しになりますが、突発性発疹が有名な理由は、人生で初の高熱が3日程度続き、熱が下がる際に赤い発疹(紅斑)が出ると言う特徴によります。
 突発性発疹の経過中、鼻汁、咳などの一般的な風邪症状や、軟便・下痢便を出すこともあります。また、急性中耳炎を併発する例、けいれん発作を来す例や入院に至る例もあります。
 残念ながら、突発性発疹の特効薬はありません。よって、家庭看護が大切になります。
 家庭看護の実際は、発熱を呈する他のウイルス感染症など、共通です。作成資料を参照願います。
 また、突発性発疹の原因ウイルスは、ヒトヘルペスウイルスVI型と同VII型で、初感染した際に発症します。つまり、2回発症することがあり得ます。が、後者は病状が軽いことが多く、或いは、受診・診断に至らないごく軽い例、“ふつうの風邪”と区別がつかない場合もあります

 

 以下を参照してください

受診のタイミング:水分・関心・睡眠・安心 

解熱剤の使い方:人は機械ではない。単に何度になったから解熱剤!ではなく、状態で使用します。

乳幼児の夜間の痰・咳などの対処方法 

家庭看護の実際 pdf 

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(2019年5月7 記 10連休中、3回の24時間当直が終わる早朝)

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