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 2歳の男の子です。夕方から急に発熱し、39℃を超える高熱になりました。保育園で高熱を出す子がいて、ヘルパンギーンとか・・・。治療薬はないのですか? 

 

 まず、お子様の診断を丁寧にすることが先ですが、仮に、ヘルパンギーナであれば、特効薬はありません。

 高熱を呈して受診された乳幼児で、ノドの入り口、上あごの付近に赤い発赤点が見られる場合に、季節は初夏から初秋頃、つまり、夏季に流行し易いウイルス性疾患です。

 口の中が荒れると、飲食が低下しがちになり、脱水兆候に留意することになります。3歳前後で、氷を口に入れる習慣ができておれば、氷は使いようで、「4つ良いことがあるネ」とお話しすることは定番です。つまり、「口の中を冷やすことになり、炎症・痛みを和らげる効果」、「口の中をきれいに保つ効果」、「若干でも水分を摂ることになり」、「体温が高い場合は、少しでも体温を下げる効果」の4つです。前の3つは、元気な時でも、夜、お風呂上りなどに有効です。

 診察をした上でのお話になりますが、お連れになる保護者の方には「お子さんの体温(の数字)から 1.5℃引いて、数値をみてください」とお話しすることも再々です。つまり、ヘルパンギーナなどウイルス血症で高熱を呈しているのは、生体の防衛反応であり、高体温の環境ではウイルスは弱体化し、その間に抵抗力を身につけたら(抗体を産生したら)ストンと解熱する経過をとります。単に、体温の数字を見て(子どもの状態像を無視して)解熱剤を多用することは避けたいのです。

 治療薬がない、大半のウイルス感染による高熱(ウイルス血症)においては、家庭看護・ケアこそが大切になります。

 まずは、保護者が安心することで、お子さんの安心につながり、治癒力(:固有の免疫力・対抗力)を高めることになります。

 同時に、脱水症対策、即ち、こまめの飲水等を支援することも大切になります。

 これらは「水分・関心・睡眠・安心」の4つ(読みは"ん"がつく4つ:覚えてください)を大切にした家庭看護です。何れかが崩れそうな場合は、かかりつけ医を受診してください。

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 国立感染症研究所にある「ヘルパンギーナとは」の症状に係る記述を抜粋しておきます。

 [突然の発熱に続いて咽頭痛が出現し、咽頭粘膜の発赤が顕著となり、口腔内、主として軟口蓋から口蓋弓にかけての部位に直径1~2 mm 、場合により大きいものでは5 mmほどの紅暈(こううん、皮膚が部分的に充血して赤く見えること)で囲まれた小水疱が出現する。小水疱はやがて破れ、浅い潰瘍を形成し、疼痛を伴う。発熱については 2 ~4 日間程度で解熱し、それにやや遅れて粘膜疹も消失する。]

文責:大谷恭一 2019/6/16記

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