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RSウイルス~細気管支炎の理解を育む

高い熱が続き、ゼーゼー・ヒューヒューと音がして、RSウイルス感染症での細気管支炎と言われました。

 どんな病気で、どのようにしたら良いでしょうか?

 ​ご心配ですね。

 RSウイルス感染症は、日本では、年齢などの制約がありますが、保険診療で迅速検査が可能になり、診断例が増え、診断名が小児科診療ではよく知られるようになりました。

 ​RSウイルス(respiratory syncytial virus)と日本の乳幼児

 子どもたちの感染症に対する抵抗力(免疫能)は、3歳になると大人の水準に達します。

 ところが、今日の日本では、乳児期から保育園などで集団生活する社会情勢にあり、多くのウイルス等が、生活の場に持ち込まれ、感染する機会が増えている辛い現状にあります。

 人生を通じて、免疫能が底になるのは、一般的には(稀有な病気の例を除き)、半年前後から3歳未満の乳児期です。

 幸い、新生児期や乳児早期は、例外を除き、母親からの免疫が胎盤を通じて移行し、かつ、母乳育児期間は免疫物質や免疫担当細胞が分泌され、ワクチンを赤ちゃんにプレゼントしているとも言えます。

 残念ながら、RSウイルスに係る免疫は例外的に、母親の免疫がほぼ移行しません。

 つまり、RSウイルスに被感染すると、自分で治さなくてはならないのです。

 かつ、RSウイルスには、特効薬がありません。

 RSウイルスに初めて被感染して困るのは、細気管支炎の病態に陥ることです。

 ​細気管支・・・? 細気管支炎?!
 “細気管支”は、酸素を血液中に取り込み、炭酸ガスを排出する肺の末端に位置する肺胞の一つ手前に位置します。これらが赤ちゃんで数千万、大人では2~3億あります。せせらぎ(肺胞~細気管支)が集まり(気管支)、多くの河川が合流し、(鳥取県東部なら、鳥取平野を潤す千代川)の本流(気管)となり、海(鼻・口)に流れる構造です。

 

 大小ある気管支を形作る細胞には繊毛(せん毛)があり、異物が肺胞に届くのを止め、また、炎症の残骸を出します。が、細気管支には繊毛がありません。
 

 ​細気管支炎の病状と対処法の要点
 細気管支に炎症があると、炎症の残骸が停滞し易く、胸部X線写真では肺炎像を呈します。
 呼吸音は、プチプチ・ヒュー・ゼー・ゴロなど多彩で、部位による差異も様々です。当然、呼吸がし辛くなり、痰としてまとまって気管、とくに、狭くなる声帯を抜ける場合にしんどくなります。
 咳に伴い、痰や、飲食した内容を吐くことも少なくありません。

 ​初感染と再感染による病状の違い・年齢による病状の違い

 生後2歳までにRSウイルスに初感染します。

 初感染の年齢が小さいと病状が重たくなる傾向が顕著です。
 2歳未満の初感染では40℃前後の高熱が3日間(以上)持続することも再々です。困ったことに、再感染も繰り返します。

 

 下の図を参照してください。

 家庭でのケアの要点は、室内空気の清浄化、つまり、タバコなどの煙は厳禁で、埃(ほこり)も減らします。かつ、加温・加湿をします。朝方は室温が下がるので、留意します。脱水症対策と、乳幼児では炭水化物の摂取支援も重要です。


もっと詳しく知りたい方 : 鳥取県小児保健協会研修会で用いた資料 》

(2019/3/7 再編 up)

別紙〔鼻閉・鼻汁やタン・セキへの対処法 具体的な方策を提案〕も参照願います。

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